鉄骨鶏舎を造ってみよう(鶏声84号より)

2011年04月02日(土) 鶏声編集委員 増田

鉄骨鶏舎を造ってみよう  第2回 千葉県 西村和彦

 

1.      設計する。

今回はモデルプランを参考にします。

間口 4800ミリ 奥行き 7200ミリ  約10坪の鶏舎です。

軒までの高さ 2200  ラーメンの数 5組

予算 5~6万円 (鋼材の相場により変動します)

 

柱と小屋組の組み合わせをラーメンと言います。このラーメンを5組作り、桁や梁で連結すると鶏舎の骨組みが出来ます。鉄骨です。

次のページの図を参照してください

番号順に寸法を入れました。全てミリ単位です。建物自体が大雑把なものですから、さほど神経質にならずに。プラスマイナスの誤差が10ミリ程度なら気にしなくて結構です。

建ってしまえば、自分も含め誰も見抜けませんから。本当は1000分の3位が誤差の許容範囲だったと記憶しています。

 

2.      原寸図を描く (実際の寸法で図面を描く)

小さなスケールの図面からでは求めきれない寸法があるので、実際の寸法で図面を描きます。大きなものになりますから、省けるところは描きません。例の図のように本当に必要なところだけ描いて斜めになっているところの寸法を求めます。この原寸図があると全体のイメージがつかみやすく、大きな間違いを避けることが出来ます。余談ですが、東京タワーなどは、平面だけで計算できないのでほぼ全てを原寸で描いているはずです!その後で加工済みの鉄骨を部分ごとに工場で仮組みして,間違えが無いか確認してから解体し、現場で改めて組み立てます。それに比べれば四角な鶏舎はとても簡単です。

例を図示しました。建設予定の平らな地面などに角材を並べ、コンパネなど人が乗っても容易に痛まない合板で台を作ります。最後に小屋組の組み立て時には治具として使います。そうすることで同一の小屋組が出来ます。

鶏舎を建てる場所があるはずです。その場所を平らにして角材を拡げ、コンパネを小屋組の寸法に合わせ幅1800ミリのコンパネ3枚で5400ミリ。これで幅は間に合います。小屋の中央付近はコンパネの900ミリでは足りないので、2枚を図のように置いて固定します。

 間口にブレースを入れるので、柱の分と合わせ更に足します。図を描かないところには、無駄になるので板を張りません。

この原寸図を、今回は組み立て作業の時の正確な台、「治具」として使いますので必ず作って下さい。

 

 

3.      原寸図から部材を拾い出す

今回使うのは3ミリ×40ミリ×40ミリ(3×40×40)というサイズのアングル(山形鋼)です。

原寸図から自分が作る小屋のサイズに合わせて必要数を計算します。今回の10坪モデルでは1.8mスパンで5組使います。

原寸図に部品の番号をつけると間違えが起こりにくくなります。

各部品がいくつ必要なのかを数えてリストを作ります。

 

 

 

 

 

4.      取り合い (取り合い表を作る)

使用する山形鋼の規格では一本の長さが通常5.5mです。まれに6m以上のサイズもありますから、入手できる鋼材のサイズを確認します。

一本の鋼材からどの部品がいくつ取れるのか積算して行きます。長い部品から順に取り、無駄がないように計画し、注文を出します。この作業を鉄工場では鋼材の取り合いと言います。紙に鋼材に見立てた棒線を引き、間違えないように一本ずつ計画します。

5.      罫書き  切断作業の前に

材料(鋼材)に取り合い表を参考にして、切断の印を記入します。鶏舎づくりでは精密さを求めないので、罫書きも石筆を使って簡単にします。鋼材を扱っている店に「石筆」というものがあります。昔懐かしい蝋石です。

取り合い表に描いたように①550②1100等と部品番号とサイズを記入すると、後々間違えを起こしにくくなります。

この際、切断箇所には切断砥石の厚みも書きます。①550と②1100の間に4ミリくらい間隔を開けます。切断の時に失われる寸法です。

  6.材料の切断

切断にはライトカッターという道具が最適です。1万円くらいからあります。厚さ3~4ミリの切断砥石を回転させて、鉄を擦り切るのですが、切断砥石(ディスク)のサイズが大きい方が作業が楽で、経済的です。切れ味が随分違いますから消耗品の砥石(ディスク)も高いものを選んで下さい。

写真のライトカッターはドイツ製です。

 

作業の時は、砥石の粉や鉄粉が飛びますから、必ずゴーグルをして下さい。とがった鉄の切れ端が眼球に刺さるとやっかいです。

切断作業の後は、切り口のバリをサンダーで削り取ります。こうしておかないと怪我の元になります。

7.穴開け前に

切断した材料のうち、組み立てるときのボルトを通す穴や、屋根を張るときの木材を取り付ける為のねじ穴を箇所を原寸図から写し取ります。

材料のアングルには2辺ありますから、どちらに穴を開けるのか注意しながら記入します。このとき穴のサイズが分かるようにします。木ねじ用と、ボルト用の2種類ですから、小さな方は○、大きい方は◎というようにします。

8.穴開け

胴縁などの木材は木ねじで充分ですから5ミリの穴を開けますが、屋根の波トタンを取り付ける場合は、飛散を防ぐために6ミリ程度のボルトを使いましょう。そのための穴は7.5ミリ。

鉄骨を組み立てるために使用するボルトは8~10ミリです。手に入れたボルトより1・5~2ミリ大きい穴を開けます。

小さいサイズで穴あけすれば位置の誤差が出にくいので、最初は全て2~3ミリのドリルで穴を開けます。これを「下穴」と言います。位置が決まったら、次はドリルの先を取り替え、全て5ミリの穴を開けます。木材用の穴は、ここで完了です。次に、12ミリの穴ですが、手持ちの道具の能力により一気に12ミリの穴あけが出来る場合と、もう一度8ミリで穴を開け、最後に12ミリに進方法とがあります。手持ちのドリルでは段階を踏んだ方が事故が少ないでしょう。能力が高いドリルスタンドやボール盤がある場合は5ミリ穴からから12ミリの穴開けに進んで問題ありません。

 大きな穴を開けるときには、ドリルの先が貫通の瞬間にバリに掛かり、材料が振り回される危険がありますから注意して下さい。

9.点検材料を原寸図に乗せ、予定通りに出来ているか点検する。小屋組の部分には材料を固定できるように木片を取り付けて治具として使う。10.仮付け問題がなければ溶接機を使って仮止めをする。仮止めは溶接の長さを5ミリから10ミリ程度だけ溶接することです。仮止め後にミスがあればハンマーでたたいてすぐに取り外し、組み直して問題を解決することが出来るような簡単な溶接を言います。問題がなければ本付けをします。

 

 

 

 

 

溶接の仕方は次回の予定でしたが、それまで待てない方がいましたので急遽今回に加えました。

初歩の溶接

溶接機について

鉄工場で大量に溶接をする場合には「半自動」という溶接機を使いますが、その場合でも「仮止め」の溶接をするときには「手棒」または「手溶接」といって、溶接棒をホルダーに挟んで昔ながらの溶接をします。半自動が普及するまでは鉄橋も船もビルも全てこの「手溶接」でした。溶接の本には幾つかの溶接法や溶接機が取り上げられていますが、鶏舎や倉庫などを日曜大工で作ろうという皆さんには「充分な」スペックを持っています。しかも溶接コストはずっと安いはずです。

 溶接機の能力は電流で著しますが、直径3,2ミリの溶接棒が完全に使える「150」規格を選べば後々後悔することはありません。私もこの溶接機でH形鋼の溶接を随分しました。「交流溶接機150型」およそ4万円です。故障はしませんから中古があればその方が安くあがります。他にインバーター式の溶接機もあります。こちらは160A規格で7万円くらい。

電源は100Vでは確実な溶接は望めません。100Vしかない場合は「バッテリー式」やエンジン式を選びます。とにかく3.2ミリ棒が使えることが必須です。 いつも使うものでなければ数人で共同購入も考えましょう。

溶接する

溶接を始めては見たけれど、結局挫折してしまったという方のほとんどが躓いているのがアークの発生が上手くゆかないと言うことでしょう。これは真剣に、真っ向勝負しているからです。どこにも書いてない、誰も説明してくれない極意は「アークが発生してから溶接を始める場所に棒を運ぶ」と言うことにつきます。

材料を合わせ、いざ溶接棒をスタート地点に合わせてもアークが上手に発生してくれません。職人は母材のどこか別の場所から棒を動かし始め、アークが安定してきたら溶接のスタート地点に棒を移動し、溶接を始めます。関係ないところに溶接をするのかと心配要りません。溶けた溶接棒の鉄はほとんど問題にならない位しかつきません。もし仮にそれが目立つほどになったとしても、相手は鉄ですから、ディスクサンダーで簡単に美容整形できます。

どうしてアークが安定してくれないのか?

「アークが発生する」という言葉を「光る」と表現すると、身近に感じるでしょう。「安定して光る」とは「安定してアークが発生している」と同義です。電気が火花を出しているのは怖い気持ちになりますが、自由に火花(アーク)を出せるようになって初めて溶接が出来るのですから、怖がらずに練習してください。

溶接棒は被覆材にくるまれて中心に鉄の棒があります。鉄の棒と溶接する母材との間に適当な間隔があると上手にアークが発生し(光って)鉄が溶け出し、互いに溶着します。母材と棒の隙間がないと直接電流が流れてしまいアークが上手に発生しません。鉄同士が異常に解け合ってくっついてしまいます。これが繰り返されると、もうすっかり気が萎えてやる気を失います。

これを超えさせてくれる先輩や講師が身近にいなければ溶接への挑戦はここで終わります。

 

職人はBからCに向かって溶接をする場合にAから棒を振り回すのは、「そのうちに適当な間隔になって、安定アークが出るわい」と気楽に構えているからです。アークが安定したらBに移動し溶接を始めます。

 

左図にあるように約60°くらいに斜めに構えると被覆材が溶接棒の鉄と母材の鉄の間に適当な隙間を作ってくれます。

この間隔が理想より広い場合もアークは発生しませんが、その場合は矢印のように立てると間隔が短くなりアークが発生しやすくなります。又、軽く棒の先を母材にたたきつけて被覆材を崩してやるとアークを発生します。この辺は何度も繰り返してコツをつかんで下さい。

正式にはまっすぐに棒を構えアークをスタートさせますが、いちいち緊張して正確な間隔を等と考えずに、棒の先で適当にその当たりを擦ったり、たたいたりして、職人の世界ではそれで済んでいます。

アークが上手に発生し、運棒が上手くなると、写真右に示したようにビードがきれいな波を見せます。幅や盛り具合が安定すれば、ほぼ一人前です。

写真の左図はアークが不安定で溶け込みも良くありません。溶接の始まりの30ミリと終わりの30ミリは「不完全」であるというのが常識で、正式な溶接の場合は溶接する部分の前後に当て金とエンドタブという金属片を母材に足して、始まりの30ミリと終わりの30ミリが本来溶接する部分の外に来るようにして溶接作業をします。それくらい始まりと終わりが不安定だということは覚えておいて下さい。今回取り組んでいる鶏舎づくりでは「余分に溶接する」事で強度を保ちます。それが素人の仕事です。

 

 

溶接が出来た?かな 

今回の作業の中には母材を突き合わせて溶接する場面はありませんが、基本ですから覚えて下さい。講習会では厚さ5ミリの鉄板(帯鋼)で練習しました。

この程度でしたら隙間なしで溶接します。まず片面から溶接します。充分に溶けあって、厚みの半分以上の深さに溶接が出来たら、溶接部をハンマーでたたいても溶着した鉄は離れることはありません。もし、簡単にわれて離れてしまうようなら、充分な溶接が出来ていません。

離れない溶接が出来ても、必ず反対側からも溶接します。こうすることで解け合った鉄が母材の厚さにおよび、母材と同じ強度を得ることが溶接の完成です。

今回は重ねたアングルの溶接が中心で、この作業は変形の「隅肉溶接」に当たります。強度が撮りにくいので、溶接の長さでカバーします。右図の矢印部分の合計長さで、溶接する鋼材の断面積に相当する溶接量を確保しました。

ベースを掘り出した。

 

左はベースの配置図

柱の向きが端の一組み分が反対向きになります。

ベースは柱の反対向きです。

 

大急ぎで纏めたので説明が足りない部分があるかと思いますが、組み立ては次回の楽しみとしてくだい。

 

手前のようなベースを穴に埋め、コンクリートで固めてから柱をボルトで繋いでゆくと、柱を立てる作業がたいへん楽である。



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